ラストキング・オブ・スコットランド (2006) 

文字数 726文字

【いまだ、遠いアフリカ】 2007/3/11



アフリカの現実を知らない、
といって知る方法も無かった時代に、
僕にとってアミン大統領は「暗黒大陸アフリカ」を象徴する摩訶不思議な人物だった。
それも悪意に満ちたニュアンスのスキャンダルが主流であった。
今、アミンの実像を掘り返すのは何のためなのか?興味津々で観させてもらった。

スコットランド人医師から見たアミン像という形式を取っているが、
宗主国であったイングランドとの見解の相違を、まずは際立たせていた。
このあたり、単一国家日本人は実感するのが難しい。
イングランド(ブリテン)国家政策として、アミンが祭り上げられたこと、
スコットランド陸軍で教育を授かったことが、
「反イギリス親スコットランド」としてアミン本人の言葉として語られ、印象深かった。
そんなアミンが狂気の世界に嵌まり込む経過を、シネマは丁寧に描き、
フォレスト・ウィッテカーも見事にその演技プランを完成している。

彼の二面性表現はチャーリー・パーカー(「バード」)でも
かってみせてくれた得意技である。

一方、西洋とアフリカの媒介役の若き医師ニコラスは、アミンの寵愛と恫喝で、
若者特有の甘さを露呈する。
しかしその代償を敢えて受け入れるまでに成長する。
アミンに「白人坊ちゃんのアフリカ経験旅行」と非難されても
「あなたは子供だ」と言い返すまで。
国家、人民のリーダー足らんとして夢かなわず挫折するアミン、
彼を最後まで理解できないスコットランド青年の悲劇は、
今のアフリカを見直す原点なのだろ。

先進国にとってアフリカ諸国はどの分野(政治?経済?資源?)で役立ちかという
視点しかない現状が、今現在も継続しているのだろうと感じた。

そして、あまりにも僕はアフリカのことを知らない。
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