猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) (2017)

文字数 636文字

【蛇足の蛇足にも意地がある】 2017/10/13



前作「猿の惑星 新世紀(ライジング)」を、想像力欠如の蛇足とこき下ろした。
そして、その続きならなんと呼ぶか、蛇足の蛇足しかない。
猿惑愛好家にとっては未練いっぱいの最終編になる、
オリジナルタイトルから明らかなように猿の惑星になるための戦争を描く。
ここまで3作も費やして1968年の名作につながることができた、めでたしめでたしである。

今回の蛇足中の蛇足は、猿インフルエンザウイルス以外の強烈な人類抹殺ウイルスがあったこと。いわゆる《とどめ》を本作では丁寧に描いてみせる。
作る側もさすがに「しつこい」のでは・・・と懸念したのかどうか? いろんなサービスを用意してくれている。

今作の猿軍団はアパッチ族だった、体に絵の具を塗る戦いの装飾、居住地を探し求める長い隊列。
だとすると人類生き残りの特殊部隊は、さしずめカスター将軍率いる猿狩りに狂喜する騎兵隊だ。特殊部隊が猿を斥候や下級兵士として雇い入れるのも、騎兵隊のそれと二重写しになる。

この特殊部隊を率いる大佐からは、どうしても「地獄の黙示録」のカーツ大佐が連想される。
冷酷非情の裏側に隠されていたのが、彼にとっての聖戦、哀しい想いが込められていた。
詳しくはお教えはしないが、「大脱走」、「ロード・オブ・ザ・リング」のエッセンスも盛られていた。

そして主人公シーザーはといえば、妻子の敵を討つ無敵の一匹狼猿ランボー。
商業主義ハリウッドの蛇足の蛇足、それでも楽しめるのがちょっぴり悔しい。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み