必死剣 鳥刺し (2010)

文字数 754文字

【アナクロにみる日本人の原点】 2010/7/24



富士山マークではなく 岩に波バシャマークで初めて東映作品なんだと認識した。
山田監督の藤沢周平シリーズは3部作といってたのも思い出した。
ついでに掉尾を飾れなかった第三作「武士の一分」を思い出して苦笑いだった。
東映が「隠し剣」シリーズを引き継いだことになるのかな?
だとするとこれからも力いっぱい応援する。

そして、平山監督作品では;
お約束の山形の自然、景色が戻ってきた。
もとより藤沢周平ワールドに息づく「武士の行き方」を見守る暖かい視線も戻った。
下級武士とその家族が命を賭けて守った 
人間であるための生々しい想いが今回戻ってきた。
あえてハッピーエンドにしなかったのは、その原点に戻るための「けじめ」だった。

ところで権力の下部に押さえ込まれた人々が輝いて見えるのは、
その権力が悪辣であればあるほど。
本シリーズシネマでも悪役には錚々たる役者を配置してきた、
「鬼の爪」の緒方拳さんを思い出す。

今作品では岸部一徳さんがうまかった。
この方がいまさらと思っていたが、立ち振る舞いは当然のことながら、
悪人面を最後まで作らないクールさに脱帽した。
この悪のクールさこそが主人公(豊川悦司)の冷徹さを燃え上がらせ 
禁断の憤怒を惹起する構造にピタリ符合していた。

もちろんこの憤怒を爆発させる主人公を演じた豊川さんはすばらしい。
椿三十郎に血ドバできられる室戸半兵衛の恨みをこめたような
血ドバの一撃が見事だっただった第一の決闘、
それに続く第二の死闘は涙こらえても見るに忍びなかった。
途中で真剣に持ちかえる・・・彼の想いがはっきり伝わった・・・必死剣。

時代劇は確かにアナクロだが、そこには日本人の心情が根付いていることを再確認した。

チアーリーディング:
岸部さんファイト、「もう一本イットク」?

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