ディファイアンス (2008) 

文字数 725文字

【監督、肩に力入り過ぎかも】 2009/9/19



ズウィック監督作品が妙にお気に入りなのは何故だろう?
壮絶なアクションを撮るのが上手いから
大空と地上を感じさせる雄大な映像に魅了されるから
大物実力俳優をキャスティングするから
難しいことは無しで、単純に面白いから

そして《ディファイアンス》に出会った。
テーマはユダヤ人抹殺の歴史の流れの中に抵抗した兄弟の生き方。
無抵抗を力とし、大きな時の流れを味方にするユダヤの教えを否定する。
その目的とは・・・ただただ生き延びること。
実話だといわれる、1200名ものユダヤ人の命を救った兄弟の戦いに溜息した。

僕が期待したズウィックシネマとは少しだけ趣が違った。
逃げ延びて生き延びる、壮絶ではなく哀しい。
逃げ延びた先はベラルーシの森、鬱蒼とした閉塞感が付きまとう。
ダニエル・クレイグは確かに実力派だけど地味なのは007でも証明済みのこと。
何かが違っていた。
それはユダヤ人であるズウィックの思い入れの強さだったのか。

そして今漸く気付いたのはズウィックの「差別」糾弾の想いだった。
「グローリー」での黒人兵士
「リジェンド・オブ・フォール」「ラストサムライ」でのアメリカ先住民族
「ブラッド・ダイアモンド」でのアフリカ人
「戦火の勇気」での女性(逆説的だが)

今回とうとうズウィックエンターテイメントの底流にある基盤
「ユダヤ差別」に手を染めた。
真正面からテーマに向き合っただけに、
またユダヤ虐殺があまりにも古典的シネマ素材だっただけに
いつも観ていて浸み込んでくる意外性に乏しかったのは仕方のないところだった。

とはいえ、
無抵抗の民たちが武器を手に取り立ち上がる崇高さには泣ける。
平和の大切さと同時に、自らを主張することの意義も考えさせられた

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