愛のメモリー (1976)

文字数 429文字

【進化した怖さ】 1978/7/19


オリジナルタイトルのOBSESSION(強迫概念)の無味乾燥さは本シネマを象徴するものなのか?
邦題「愛のメモリー」は作品ニュアンスを伝えているようでいて僕を最後まで惑わし続ける。
デ・パルマが描いたのは、純粋に精神のゆがみ、恐怖そのものだった、だからOBSESSION。

しかしながら物語はビジョルドの愛くるしい演技もあって愛憎のサスペンスの形で進行する。
前作「キャリー」で感じた直接的恐怖ではなく、人の心の中で醸成される愛の裏返しの恐怖だった。
そんな父親の苦悩と強迫をクリフ・ロバートソンが演じる一方で、前述のビジョルドの二役が父親の恐怖を倍増する。

僕にとっての愛のメモリー:
★妻への美しい愛の形を踏みつぶしてしまうラストシーン、そこはそっと黙っておいてあげたかったな。
★ハイアングル撮影される飛行機に拉致される娘、16年前に重なる戦慄の映像処理。

デ・パルマの第三作「フュリー」が今から楽しみだ。
(記:1978年7月19日)
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