はじまりへの旅 (2016)

文字数 604文字

【脱 資本主義・消費主義】 2017/4/14



ヴィゴ・モーテンセン演じる父親は森の奥深くで6人の子供たちを教育する。
ナイフ1本で獲物(食料)を仕留め、星を見て行く先を知り、
雨の中ロッククライミングできるサバイバル能力、
一方では「権利章典」を説明できる末っ子エール始め有名大学に合格する長男のように
独自の英才教育が成功している。

そんな家族のマミーが入院先で死んだことで、
一家全員で母親をキリスト教による埋葬から救出するミッションに出かける。
悲しい物語であると同時に奇妙な一家が道中巻き起こすとんでもない出来事の
コミカルなロードムーヴィーでもある。

シネマは、この一家の生き方が正しいかどうかをストレートに問いかける。
実は、父親母親にも確固たる自信があっての隠遁生活ではなかったこと、
子供たちにも言い表せない不安・不満があったことが判ってくる。
常識的世俗の代表として、祖父(母親の父)が一家を崩壊させようとする…
「このままでは子供たちは社会で生きることができない」と脅迫する。

マット・ロス監督は資本主義・消費主義の終焉の時代に生きる我々に
一つの光を投げかけてくれた。
ショッピングのために働き、無意味に学校に通い、宗教の甘い罠に身を委ねる我々に
「本当の生き方」を示唆してくれる。

父と長男が髭。髪を切り落とす、ちょっとだけの反省と揺るぎない信念の表明だった。
子供たち全員の輝いた眼が新しい世代の台頭を感じさせてくれる。

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