クローサー (2004)

文字数 1,005文字

【セ・ラ・ヴィです、監督】 2007/4/9



四人の俳優(ほぼ彼らしか台詞がない)による「愛のわがままと妥協」を心ゆくまで楽しめました。

写真家(ジュリア・ロバーツ)、
風俗ダンサー(ナタリー・ポートマン)、
物書き(ジュード・ロウ)、
医者(クライブ・オーウェン)
が彼ら四人です。

「やった」、「寝た」、「イッタ」、「XXX」、「○○○」など卑猥言葉多数がこれら美形から発せられるのですが、かたや映像では全く表現されません、絡みシーンも一切ないのです、毛ほども(シャレではなく)。
意識するしないは別に、観客は四人の誰かに感情移入しながらも、この美女美男の言葉だけから、今何が起きているか?
彼らは一体何物か?を嗅ぎ取らなければいけないのです。
スリリングな展開ですが、これは面白く感じました。

■単純なところで、医者は年代的にも性別からも僕に近い(ハンサムかどうかは?)わけなので、彼の気持ちになってみましょう・・・・いやな男です、でもこの気持ちが分からないでも。
それにしてもSEX強迫概念の塊りのような鼻持ちならない中年アル中の複層心理って、一見渋く見えるのかな?

■新聞社に勤める若いライターは、感じのいい美男子。おそらく隣のおばちゃんには「挨拶のできるいまどき珍しい真面目そうな・・・」とコメントされそう。
ホントは〈我がまま〉と〈正直〉の違いが決められず、自分の都合で使い分け、自分に正直であることはなんとすばらしい人生・・・と自分をごまかしてました。

■ヤサグレのアメリカ娘は何をしても生きていける強かさ、ウェイトレス、
ストリッパー・・・・?ノープロブレム。
人を信じたい純粋さと傷つきやすさが同居して混乱しがち、この種をナイーブと称するのかな? 
この娘と付き合うには我慢がいっぱい必要そうだな。でも、人が皆振り返るほどの可愛さがあるので許される??
許しちゃう。

■謎多き美人写真家、結局2回目の離婚は避けられたのでしたっけ?
ずばり浮気性な困ったお姐さんで、医者と物書きは見事手玉に取られてましたね。
しっかりと愛の形を確保したのは彼女だけかも。
でも、愛に妥協して生きていく彼女を非難できる人がどれだけいるのかな?

人生の、底の奥にまでも、浸らせてくれるマイク・ニコルズ監督。
高三のときにあなたの《卒業》で未知なる人生の夢に酔った僕が、
今また40年後に《クローサー》で人生の澱に触れ感激するとは

なんとセ・ラ・ヴィではありませんか。
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