アマルフィ 女神の報酬 (2009)

文字数 756文字

【日伊ローカルパーツのマッチング】 2010/2/28



ついつい劇場で観るチャンスを逃してしまい、あとで悔しく思うシネマがある。
特に近年DVDなどと言う便利な媒体が普及してきたものだから、
万一見逃しても必ずフォローできるもんね・・・
と慢心があるのも事実だ。

さて、
この「アマルフィ」も今述べたような踏ん切りがつけにくいシネマだった。
僕は長年イタリアビジネスに細々ながら関わってきている。
アマルフィを訪れたことはないが、
かってイタリア会話のテキストでこの地名に親しく接した思い出があった。
イタリアの宝のような美景、名所と信じている。
その地をロケする日本シネマ、真保原作、織田主演
・・・・僕にはミスマッチ以外の何ものでもなかった。

ここで大きな「ゴメンナサイ」を申し上げたい。
ミスマッチどころか日本的ローカルパーツが
これまたイタリアンローカルパースペクティブにマッチしている。

恐らくは国際的にも認知度の低い日本国情報機関員と思しき主人公の独善性と執行力、
被害者である女性二人(母娘)の屈託ない国際性、それを支える愛情の深さ、
「金に糸目をつけない外交」と揶揄されていた大使館の無力、
イタリアにおける誘拐ビジネスの実態、
やや類型的なバルカン半島政治情勢ではあるが民族戦争の悲劇・・・。
美しいイタリア、歴史のイタリア、魅力のイタリア映像の中に
これら多くのエピソードが整理されていた。
海外ロケシネマにありがちな「まぁこのくらいでいいか?」の妥協は見とれなかった。

良質の仕上がりを支えていたのはイタリア側スタッフ、キャストだった。
無名の(僕にはだけど)俳優たちの手抜きない演技、貴重なロケカットの数々。
同じようにイタリア(ローマ)ロケを敢行した「天使と悪魔」にも遜色のない
イタリアらしさだった。

日本とイタリアはやはり良くマッチする。

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