ニューヨーク一獲千金 (1976)

文字数 466文字

【勝手な豪華演技人】 1978/4/18


ジャンルを特定するのがむつかしいシネマだった。コメディとも言い切れず、ミュージカルでは絶対ないし、冒険ものでもない。
全体の雰囲気は「スティング(1973)」に似ている気もしないではないが、あちらほど緻密ではなく そもそも面白みがない。

ところが、キャスティングが豪華絢爛であるからこのアンバランスに戸惑う。
ジェームス・カーンとエリオット・グールドが歌って踊っている、たいしたものではないがご本人達は嬉しそうだった。
マイケル・ケインはうってつけのきざな紳士、アメリカの良心を代表するダイアン・キートン、
バート・ヤングは日陰に生きる小心者、チャールズ・ダーニングが前述の「スティング」のままの悪徳警官。

これだけ多くの芸達者が自ら楽しみながら得意技を競い合っている、まるで学芸会のように。
その結果、ひとつひとつのシーンを愛でることはできたが、終わってみればいったい何のシネマだったのかと訝ることになる。
おそらくは、後一月もすれば記憶の果てに消えてしまうシネマになるだろう。
(記:1978年4月18日)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み