フランス組曲 (2014)

文字数 585文字

【今日的視点でみる不戦の想い】 2016/1/14



フランスの田舎町に進駐してきたドイツ軍将校とフランス人夫人のロマンス物語だが、
なにをいまさら・・・のテーマではないか。
と感じるたが、
2004年発表のベストセラー原作が、アウシュビッツで亡くなったユダヤ人作家の未完の遺稿だと聞いて少し納得する。
60年あまり眠っていた原稿が遺族の手で見つけられたというエピソードも日本人の僕にさえインパクトが強い。

今、統合に関して揺れ動くEUの、特にフランス、ドイツの人びとにとっては猶のことだろう。
シネマは、国家という共同体の名のもとに人を不幸にし人が殺し合う状況を、
銃後の静かな田園の中で描く。
フランスとドイツという国家が、
そして一人一人の人間がその本性をさらけ出すのが戦争だという。
ドイツ軍将校と、夫が捕虜になった名門家の嫁との恋は、その象徴であるが、
繰り返しになるが、なにをいまさら・・・・である。

しかし、人間は過ちを繰り返すもの。
混沌の「新しい戦前」と言われる今こそ、本シネマのメッセージを噛みしめたいものだ:
●一人一人の力は高が知れている、共同体の一員である充足感には敵わない
●恋愛に代表される感情に溺れてはいけない、愛国心に目覚めること

実にこれはヨーロッパ連合の目的であり、
同時に内包する大きな矛盾にもなっている。

ヨーロッパは、追いつづけてきたこの理想をあきらめるのだろうか?

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