ARGYLLE/アーガイル (2024)

文字数 813文字

【キングスマンの香り芬々の快調ストーリー】2024/3/1
  


中年主演カップル(ブライス・ダラス・ハワードとサム・ロックウェル)が華麗なアクションを見せてくれるのだけど、どうにも落ち着かないまま物語は中盤に入り、ここからユーモアと殺戮という独特な味付けのスパイシネマに大変身していく。
   
自分の書いたスパイ小説が、スパイ家業の人間の未来を描くという偶然から敵対するスパイ組織双方から狙われる女性作家、彼女を献身的に支える一匹狼スパイ、この二人の活劇の中に、小説の登場人物が被さってくるといいう、ふざけた設定に、いくぶんウンザリしていた頃合いから一気に荒唐無稽ともいうべき展開に、久しぶりにアッチコッチに振り回されたあげくに、どんでん返しの快楽を味わうことになった。

争うのはお決まりの悪と善の情報機関、裏切り騙し合い、そしてゴージャスな殺戮映像シークエンスは、「キングスマン」の遺伝子を確りと受け継いだ英国本流のスパイ物語になっている。

イアン・フレミング(007シリーズ)、ジョン・ル・カレ(スマイリーシリーズ)など、スパイ小説の作家は元スパイだったという思わせぶりや、
「ロング・キス・グッドバイ(1996)」のカバーのみならずサミュエル・L ・ジャクソンまでが出演する厚顔さは、繰り返しになるが「キングスマン」の系譜である証でもある。

さて、ストーリーそのものは観終わってみれば大したものではないが、エンディングに向かう緊迫感はシネマの基本的愉しみに満ちていた。
間違いなく(ぼくの選ぶ)本年度のアクションベスト作候補になるだろう。

最後におまけのように次回作の紹介がある、物語は主人公のスパイ小説第一巻らしい、またもやキングスマンの香り芬々の予告だった。
ちなみに本シネマは小説第5巻、第6巻(完結)だということだ。
つまり、かってのキングスマン同様、過去に戻る続編になりそうだ、これまたお楽しみなことだ。
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