Girl/ガール (2018) 

文字数 695文字

【痛いほど切ないGIRLへの想い】 2019/7/18



LGBT あるいはT(トランスジェンダー)をテーマとしたシネマは近年多い。
例えば、「アバウト・レイ16歳の決断(2017年)」では
エル・ファニングが性同一性障害に立ち向かう少女を好演している。

本作はGIRLになりたい16歳のトランスジェンダーが主人公。
(彼女)ララ は小さい時から性同一障害に真摯に向き合っている。
家族もララのために犠牲を厭うことなく着々と性転換手術に向かう、
世界はこれほどまでに進化している。

ララの生きがいはバレエ、名門バレエ学校で厳しいトレーニングに立ち向かう。
トランスジェンダーとしての幸せな日々・・・・
かと思っていたが、ララには鬱積した思いがある。
バレエで成功したい、ホルモン治療で早く体形を変えたい、
好きな男性と愛し合いたい・・・大きな心の負担になる。

シネマは、バレエに没頭するララのトレーニング姿を執拗に追いかける。
僕は一瞬、バレエのサクセス物語を見るに違いないことを期待してしまう。
きっと、彼女は幾多の生涯を乗り越えて、
トランスジェンダーのヒロインになるに違いない・・・と。

ララに待ち受けていたのは、そんな生易しい人生ではなかった。
ラスト・シークエンスの驚愕は、文字通り痛みを覚えずには観ていられなかった。

ララを演じたのは、ヴィクトール・ポルスター。
ジェンダーを感じさせない美しい容姿、痛々しくも肉体を露出する残虐さ、
その二つが会いまった不思議に満ちていた。
本シネマのエッセンスが見事に具体化されたのは、ヴィクトールの力によるものだった。
初めてのシネマ出演・主演のヴィクトール、これからの進化がお楽しみだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み