ケリー・ザ・ギャング (2003)

文字数 748文字

【レジェンド オブ ヒース】 2008/4/9



オーストラリア19世紀末、伝説のアウトロー ネッド・ケリー。
演じたヒース・レジャーがすでに伝説になってしまった皮肉に愕然とする。

ヒース・レジャーはもうこれから新たにシネマ世界には現れ出でない事実、
この信じ難い事実、僕は彼の突然の死以降ずぅ~と呆然としていた。
ようやく未見作品に向き合える気力が湧いてきたところのダブルショックだった。

この主人公ケリーは、オーストラリアでは国民的ヒーローであるらしい。
英国から遺棄されつつ英国からの独立をその精神基盤としてきたオージー、
オージーらしいヒーロー像なのだろう。
当然ながら、実在の人物として、シネマも含めて過去数多く再現化の試みがあった。
新世界と封建武家との違いはあるが、日本でいうと《忠臣蔵》のような人気物語なのだろうか?

ヒーローたる所以はアイルランド系というだけで差別、虐げられる不合理への反発。
新大陸であるはずのオーストラリアで旧態然と繰り広げられる人種、階級による差別への挑戦。
この絶望的戦いに挑むケリーの心情をベースに本シネマは語られる。
ケリーの言動から近代市民主義の発芽を感じ取ることができることからも、
彼が「伝説」になった理由がよくわかる。

想像するまでもなく、強者(本作では警官)が卑劣な迫害をする反作用として、
正義が浮かび上がってくる図式は西洋的権力闘争を示唆している。
そこに紛れもなく介在するのは暴力なのだけど、反逆者の「誇り」がその行為を贖う。
ただしその評価は後の歴史に委ねられることになったわけだが。

忠実な再現ドラマという印象だ。
おかげでヒースのハンサムな面影が立派な髭で隠れてしまう。
演技派イケメン、ヒース・レジャーと納得するか、諦めきれずに悔しがるか?

悲しいかな、再チャレンジはない。
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