湯道 (2023)

文字数 721文字

【悲しみの「ユーアーマイサンシャイン」】 2023/3/8


予告編シネマではないかという不安と恐れいっぱいで拝見した。
いやいや、なかなか良く出来た群像シネマに仕上がっていた、俳優さんたちの頑張り というか はしゃぎ過ぎもこの際致し方ないのかな。
その予告編で伝わらなった重大なポイントは「遺物」取り扱いの悲喜劇だった。

温泉評論家に遺物と名指しされたのは「銭湯」、
反対にタイトルになっている湯道家は銭湯の存在価値を認め、
でも銭湯オーナー自身は廃業を覚悟し、
そんな混乱のなか数少ない常連さんはそれぞれの自己満足に浸る。
主役の銭湯とは一見無関係のように湯道宗家のシニカルな修行シーンが、メインストーリーに分け入ってくる。 コミカルタッチをベースにしている物語りの中でも、湯道修行パートはオヤジギャグ連発のおふざけに徹している、まるでバラエティのように。

「送り人」に見られた顧みられることのない職業への愛はそこになく、消えゆく職業に無理やりスポットライトを照らしただけに終わった。

ところで本シネマのような古色蒼然とした銭湯は実際まだ残っているのだろうか?
僕はまさに昭和30年代の銭湯を利用していた、もしこんな銭湯が生き残っているとしてもおそらくそこに入りに行くことはない。 家にお風呂がなかったから仕方なく銭湯に行っていた、毎日通えるほどの余裕はなかったのも事実だった。
後年お風呂付の家に引っ越した時の嬉しさを忘れることはない・・・もうこれからは好きな時にお風呂にはいれると。

本シネマテーマ「銭湯は永遠であり、遺物ではない」には、かなり無理がある。
それを知っていながらのキャスト一同による「ユーアーマイサンシャイン」の合唱が悲しかった。
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