アバウト・タイム ~愛おしい時間について~ (2013)

文字数 769文字

【「愛の力」レッスン】 2014/9/28



この物語には「愛」しか存在しない。
圧巻は主人公夫婦の結婚式だ。
結婚式だから「愛」は当然なのだが、嵐のため野外披露宴が壊滅した後の言葉が「愛」に溢れていた。
花嫁:「人生はいつも晴れではないからね」と花婿を慰める。
花婿の父:「生涯愛した3人の男性のひとりが、この息子だ」と今更ながらの確認をする。
ちなみに、あとの二人は父親と弟だそうだ。

実はこの発言には重要なキーが隠されている。
花婿の家系では男性にはタイムラベルできる特殊能力がある。
過去限定のタイムトラベルだが、この秘密は父から息子へと継がれていく。
「All you need is kill」と同じ、これは何回でも修正の効く人生が送れるというわけである。
ただし、カーチス監督はこの特殊能力を金儲けや権力のために使うことを禁じている。
この教えを守る主人公は、それならばと「愛」のためにタイムトラベルする。

最愛のメアリーを獲得するために家伝の才能を駆使する主人公だけど、最初からメアリーは彼に首ったけなのが面白い。
妹のピンチを、同じようにタイムトラベルで解決するが思わぬバグがあり不発、結局は地道な説得で解決するのも面白い。
この超能力は「愛」にもうまく作動しないようだ。

そう、途中から観客にこのことを気づかせるのがカーチス監督の狙いだったのに違いない。
過去に戻って人生を修正するより、毎日を過去から戻った一日として精一杯楽しく生きるほうがよほど良い・・・ということ。

それでも世を去った父親に、過去で再会できるゴージャスな喜びが残っていたが、そこにもある条件があった。
その意味するところは、これからの人生で「愛」を増やすためには過去に止まってはいけない…ということ。
「愛」は現在進行形であるべきだ。
本シネマは超能力に名を借りた「愛の力」レッスンだった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み