アイ・アム・レジェンド (2007) 

文字数 764文字

【ふたつ、耐え難いことがあった】 2007/12/16



ふたつ、耐え難いことがあった。
どちらもきわめて個人的なこと、
でも本シネマの重要な要素なのでお伝えしておく。

ひとつは主人公の相棒の犬。
ひと月前に愛犬をなくしたばかりの僕には、サムの献身が悲しくて仕方なかった。
廃墟のNYシティサバイバルに彼女(サマンサのサムだって)との語らいが
どれほど心強かったか。
サムは単なるペットではなく、レジェンドを創りあげる上での重要な役目を果たす。
それは「神との遭遇」への導きといってもいいのかもしれない。

もうひとつは僕が封印した亡霊との再会。
本シネマの事前パブの印象から、
「予断なしが適切」と判断して、まったく無情報で対面した。
おかげさまで、何度心臓をわしづかみされたことやら。
ホラーは30年近く前に積極的に観ないことに決めた経緯がある。
シネマを観て楽しまなくて,怖くなってどうする・・・・というポリシーだった。

ことに今回の「恐怖のメディア(内緒)」が僕の一番の苦手だが、
知らなかったわけだから、途中で逃げだすこともできず亡霊と付き合ってしまった。
いや、ほんとに怖くて気持ち悪かった。

しかしながらである、
本シネマを近未来デザースターSFとして評価すると凡庸だが、
僕が耐えがたかったふたつの要素のおかげで傑出したエンターテイメントになっていた。
嫌味でも皮肉でもなく、
「犬との愛情」と「グロテスクな恐怖」がウィル・スミスの熱演をバックアップしていた。
この薬味が欠けていたら、主人公はご都合主義のレジェンドとして僕の記憶に生きただろう。

動物のけなげさにウルウルし、
吐きそうな恐怖に金縛りになっていたおかげで、
あまりのステレオタイププロットに気づかないまま、
終わってみると、
またもやウィル・スミスは地球の救世主になっていた。

こんな感動、決して嫌いじゃない。

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