クローバーフィールド/HAKAISHA (2007)

文字数 593文字

【より怖いもの】 2008/9/14



劇中の素人カメラ目線のシネマという情報を耳にしたので、DVD待ちをさせてもらった。
大スクリーンで揺れ動く映像を観るのが億劫だったから。

シネマは総合芸術だと頑なに信奉する身とすれば、素人を装った映像をどれほどプロが魅力的に仕上げるかの興味はあったとしても、視点の拡大は絶望的、シネマのダイナミズムの限界を予測していたから。

この懸念はほぼ当たりだったが、
この掟破りシネマならではの視点限定アドバンテージが発揮されている・・それは仮想実体験。
そこに延々と映し出されるのは非常事態における普通の人間の異常な行動力・・・いわゆる「火事場の馬鹿力」。
愛情・友情のために命をかけるのは何もヒーローの専売特許ではない、感動できるストーリーだった。
一方、
パニックの原因である大怪獣の脅威は地上の小さなカメラ目線ではほとんど感じられない。
惨劇はいきなり、訳のわからないまま襲いかかってくる・・・・リアルな恐怖である。
小怪獣の方が相対して見えるだけに抵抗できるものなのかと思いながらもやはり恐怖。

いちばんの恐怖は軍の破壊力だろう。
マンハッタンを焦土とする作戦を実行する裏腹には、権力側の秩序維持と人命損失の許容がある。このハンディビデオに記録された人たちの思い出を永遠に葬り去ったのは怪獣だけではない。

老婆心:
東宝の地球防衛軍だったら、こんな非道な介入は決してしなかった。
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