アウトロー (2012)

文字数 985文字

【アンチ・ヒーローは嫌いじゃない】 2013/2/2



この日本語タイトル、「アウトロー」はひどい。
「アウトロー」冠のシネマは多数、
失礼な言い方だけれど《手垢にまみれている》イメージすらある。
オリジナルタイトルは「ジャック・リーチャー」、ずばり主人公の名前である。

いきなり余談で恐縮だが、
本シネマ上映直前の予告編「ジャッキー・コーガン」で
ブラッド・ピットの翻訳スーパーがのたまう・・・
『これからアウトロー見るんだったら、ジャッキーコーガンの前売りも買ってけよ』
ちなみにジャッキー・コーガンのオリジナルタイトルは「Killing them softly」
・・・・なんだか複雑でよくわからない。
僕の懸念するところは「ジャック・リーチャー」が「ジャッキー・コーガン」に敗れ去ってのではないかとのこと。

閑話休題、
トムに期待するヒーロー像と本シネマヒーローには大きな隔たりがあった。
ジャック・リーチャー人物像にはいわゆるアメリカ的良識が備わっていない。
すべての義務、責任を放棄しその代わりすべての権利も捨て去ることが
自由に正義を遂行する条件だという。
彼には資金も無い、秘密兵器も、変装技術も、スーパーカーも、頼れるチームも、
無論政府の援助も無い。

わかりやすい映像としては、ケイタイがないので公衆電話で敵と交渉する!
着替えが無いので洗濯すると裸でいるしかない。
これはアウトローというより、ホームレスに近い生き方である。
当然銃器の類は所持していない、戦うのは素手、その素手で命を奪うことをまったく厭わない。
なぜ、事件に関わってきたのかというと、
これまた当然の如く「正義のため」である。(詳しくは本編で是非)

まるで神のようなヒーローだけど、
今の時代だからこそ僕はジャック・リーチャーが嫌いじゃない。
テロとの戦いの名の下に普通の人々が殺され、
IT武器がその殺しをバックアップし、
富の配分は大きく不公平に傾いている。
徒手空拳とはいわないが、自らの知識と度胸と矜持と、そして武力で正義を全うする。

善きアメリカンヒーローからはほど遠い人物にトムが挑戦する、
僕は微力ながらエールを贈りたい。
「ジャック・リーチャ- Ⅱ」を期待している。

老婆心:
ロバート・デュヴァルが老スナイパー役でサスペンスの流れをいっとき和ませてくれる。
なかなか得がたい存在である、次回作にもでていただきたい、お元気でいてください!

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