テイキング・ライブス (2004)

文字数 730文字

【バスルームでは優しく】 2007/2/24



《サイコキラー 対 FBI女性捜査官》の図式といえば、
レクター博士とクラリスが妖しくも重厚な関係を築いてシネマ歴史の一幕を飾っている。
本シネマは同じような設定だが一直線に敵対関係を極めてみせてくれた。

シネマのイントロでショッキングな成り代わり殺人を見せ付けられ観客は
本作鑑賞態度を今一度覚悟し直すことになる。
しかしながら、よくあるサイコキラー実像についての謎解きはメインテーマではないということに、すぐに気づかされる。

陰惨な連続殺人事件が、やがて犯人と捜査官の愛憎の葛藤に進展していく流れは、
良し悪しは別に思いのほか丁寧で親切、シネマ創りの良心すら感じられた。
この両名を演じるイーサン・ホークとアンジェリーナ・ジョリーには
文字通り鬼気迫るものを感じた。
イーサンの人格ギャップの迫力表現、
アンジェリーナのFBIプロ意識表現は
このシネマをがっちりと土台から支えてくれていた。
忘れてならないのが犯人の母親(ジーナ・ローランズ)の存在。
実の母親がいかに我が子を恐れているかということで、
観客は犯人に感情移入することなく、FBI捜査官の憎悪に肩入れできる。

冷静に見れば、細かな部分にまでケアーされた気配りの演出であるが、
サイコキラーと戦うヒロインの立場に立てば、
恐怖に掴まれっぱなしのまま、
結末まで突っ走らされてしまうスリリングな面白さはたまらないところだ。

役立ちシーン:
捜査官が、バスルームの隅で嗚咽するシーン。悔しさからか、悲しさからか?
つい最近、エヴァ・グリーンが同様なシーン(007カジノロワイヤル)で
恐怖を見事に表現していた。
女性がバスルームで泣いていたら、
男性たるもの、心して慰めましょうぞ、きっと絵になるはずだ。

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