ヤング・アダルト・ニューヨーク (2014)

文字数 524文字

【44歳の抵抗】 2016/7/27



「ヤングアダルト」を定義するのはいささか難しいところだが、少なくともラブコメディではない。ちょっと辛口の業界エピソードといったところだろうか?

業界というのは記録映画製作。
ひとつのテーマに10年関わりながら完成できないでいる44歳のディレクター(ベン・スティラー)とその妻(ナオミ・ワッツ)のほろ苦い狂乱の顛末だ。
完璧を追求して頑なに自分に閉じこもりがちな主人公が、映像作家志望の若者と不思議に心を通じ合う。この若者はレコード、ビデオテープなど古いものに傾倒しながら、先輩である主人公を魅了し取り込んでいく。
オジサンが若いモンに操られていくような嫌な予感がしてくる。

この若者を演じているのが アダム・ドライヴァー 旬の俳優だけあって曖昧な嫌味男を好演している(新SWのカイロ・レン)。
若者の恋人役のアマンダ・セイフリッドを含めた新旧4人の俳優の個性を愉しむことができる。

シネマは倦怠期夫婦がそれを乗り越えていくという輝かしいサクセス物語。
途中のドキュメンタリフィルムの倫理、正義(ヤラセ)については今更の想いが強い。
結局のところ、
純粋な44歳クリエーターのささやかな抵抗は、夫婦の愛をとり戻した…というお伽ばなし。
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