ディア・エヴァン・ハンセン (2021)

文字数 789文字

【シリアス・ミュージカルだね】 2021/11/30



ミュージカル作品賞などでトミー賞6冠という殺し文句がきいた、僕の胸にグサッと。
加齢に伴ってミュージカルが好きになって来た近年、期待値マックスで拝見した。
加齢に伴う趣味嗜好の変化の要因はと言えば、自己分析ではあるが、「ハッピー優先」、誤解を避けるとすれば「あまり深刻になりたくない」くらいの表現になろうかと思っている。
「ラ・ラ・ランド」の魅了されたのは、人生のすれ違いの切なさがそこにプラスされたからであって、同じ製作スタッフの手によるミュージカルだとの触れ込みに、テーマの重さ(事前情報)にもかかわらず、楽しめるはずだと思い込んでいた。
すこし、その考えは甘かった。
本シネマ(ミュージカル)は若者の自殺を防ぐという、上位概念が全編に漂っている。
高校生の深刻な孤立感、ストレス、そして鬱からの悲劇を阻止する言葉が音楽と一緒に流れてくる、繰り返し何度も。
そんな高校生が、セラピーを受け各種薬剤を摂取するアメリカの現状、おそらく日本をはじめ世界の若者も同様な状態なのだろう。
そんな状況に投げかけた一石が本ミュージカルだった。
だからなのだろう、ハリウッド・ミュージカルに欠かせないダンスシーンも、どこか哀愁に満ちている。
楽曲は沈鬱な想いに占有され、歓喜はまるで見いだせない。
原作ミュージカルをシネマに再現する理由が思いつけない。
主人公エヴァン・ハンセンを演じたのはは舞台と同じキャストとのことで、パーフェクトだったが、ジュリアン・ムーア、エイミー・アダムスが歌う必要があったのかと、暗闇でひっそりと問いかける僕だった。

エンドロールの後、ご丁寧にも自殺防止のメッセージまで紹介される。
啓蒙シネマに違いないが、気軽に鑑賞するにはちょっとヘビーなミュージカルだった。
もっとも、
古希過ぎの僕に高校生の何がわかるのかと言われれば、それまでだけど.
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