沈黙のパレード (2022)

文字数 653文字

【定番のお楽しみ】 2022/9/20


本作に限らず原則としてTVドラマよりシネマ一筋なので、ガリレオシリーズも僕にとってはこれが3作目となる。
福山雅治さんのおかげで安定したエンターテイメントレベルを維持しているものの、ポアロの灰色の脳細胞とまではいかない謎解きの切れの悪さに爽快感を感じることはなかった。
ポアロを引き合いに出したのは、本作が一瞬とはいえ「オリエント急行殺人事件」の風格を漂わせたことがあったから、そのあとの展開が幾分締りなかったことは別として。

エンタメとしての本作の価値は、定番のトリオ漫才(福山、北村、柴咲)の妙にある。
今作でも大学教授と刑事というアンバランスをものともせず、互いにじゃれ合っているのに再会できてほっとしたりする。
助演人の多彩なところもTVドラマの出自らしい、とにかく色々な顔を盛り合わせて盛り上げてくれる。大勢の顔の中で先週も別のシネマで拝見した酒向芳さんの怪演がそんな中で光っていた、別に不思議ではないが。
とはいえ、吉田羊さんはじめそうそうたる役者さんがしっかりと脇を固めていた、これもシリーズの特徴であり安定の秘訣なのだろう。

肝心のミステリまたは謎解きの関しては、先に述べたようにダイナミズムはない、「沈黙のパレード」というタイトルほどには沈黙は行進せず、容疑者たちはべらべらとよく喋ってくれる。
なかなか真実にたどり着かないのをどんでん返しと言わせるには無理があった。

繰り返しになるが、ポアロだったら沈黙のパレードなどものともせず、一人でさっさと謎を解くのだけどね。
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