ヘルドッグス (2022)

文字数 702文字

【饒舌と格闘デザイン】 2022/9/16


原田眞人+岡田准一ペア三作目はこれまでの時代劇ヒーローから大きく羽ばたいて狂える暴力の世界になっていた。
主人公のアンダーカバー元警官は大義で潜入を志願したわけではなく、ただただ報酬のためだとすれば、確かに本作は暴力に塗れるしかなかった。
而して、本作の見どころは潜入警官露呈の恐怖というオ-ソドックスな展開にはならないし、ヤクザの舎弟格のサイコ男との友情にも 一歩突き放したところが見事だった、徹底的に欲望と暴力に徹していた。
暴力を映像として具体化してくれたのが岡田さんの格闘デザイン、ガン・刃・鉄拳・を網羅した総合格闘技の数々に出逢えた。
本家ハリウッドでも、ジョン・ウィックアクションなどなど新規変容アクションが次々と生まれてきている中で、東洋と西洋がマッチした 新鮮な格闘デザインを堪能することができた。

これほどまでに、肉体が圧倒的に有利な映像なのに、不思議なことにシネマはもう一方で饒舌だった、いや饒舌すぎた。
複雑なヤクザ抗争、登場人物の生い立ち背景の説明を筆頭に、物語り展開細部を台詞で説明している、長く速い言葉に戸惑った。
もしかして、これまでの二作が時代劇であった反動でもあるかのように、登場人物が一人一人の思いを喋りまくしたてる。
気が付くと、主演の岡田さんだけ寡黙だった。
余計なことは一言も発することなく、さっさと殺し続けていた。
助演になるのだろう坂口健太郎さんが一人異常な殺気を放ちながら兄貴分を慕う、泣かせてくれる存在だった。

かってのSP シリーズでの岡田アクションが遠い昔に思えた、今作の成熟だった。
シリーズ化を期待する。
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