団地 (2015)

文字数 494文字

【浪速魂が息づいてました】 2016/6/6



大阪文化を愛する監督の思いがいっぱい詰まっている。
松竹新喜劇のダークサイドのような嫌味な人間が集合した団地が今回の舞台。
「ありえないことが起こるのが団地」というテーマが見え隠れする中、
息子を失った夫婦(藤山直美、岸部一徳)に降りかかるミラクルに一杯食わされた。

前半は予想どおりの、大阪趣味の強いシチュエイションコメディを
芸達者なお二人がリードしていく。
間違いなく大阪ではKYの立場になっているお江戸人(石橋蓮司)が
夫婦の苦しみの中和剤として作用していく。

つまり、物語は夫婦の計り知れない深い悲しみに気づくことを迂回して進んでいく。
「OUT(桐野夏生)」のパロディのような騒動すら、二人の悲しみには無関係だった。
漢方薬を求めて遥か宇宙の彼方からやってくる生命体のエピソードから
シネマは大きく変針していく。
黄泉の国を訪問する夫婦はまるでフェリーニの世界に入ったようだった・・・
ちょっと褒め過ぎだとすれば、小松左京のSFショートのケッタイナ世界としておこうか。

二人は終わりのない人間世界で葛藤し続ける、
なるほど、僕たちは無間道に彷徨い続けるのだろう。

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