ある少年の告白 (2018)

文字数 678文字

【アメリカを支える宗教・道徳】 2019/4/22



ジョエル・エドガートンのオーストラリアチームがアメリカに巣食う頑迷な保守階層に挑んでいる。そのテーマは LGBT矯正施設とその活動の告発。

ベースになっている原作は本シネマの主人公が経験したLGBT矯正実態をレポートしたもの、
そして現在もなお、70万人のLGBTの人たちが、そんな矯正施設に閉じ込められていると、シネマは最後に語りかける。
本シネマの価値は、この一点だけでも十分に値打ちがある。
少なくとも僕の今までの理解とは大きくかけ離れていたのだから。

LGBTはキリストの教えに反する故に、神への信仰の力で彼ら・彼女らを本来の姿に戻そうとする矯正プログラム、当然のことながら科学的な根拠などない、キリストへの盲目的な信仰があるだけだ。

近年LGBTがシネマの素材として多く取り上げられるようになってきているが、その基本的アプローチは「差別」の視点から。
LGBTそのものに対してはすでに理解・容認の上での、自由平等の立場から論じられていると思っていた。
本シネマはその意味で僕自身の思慮の足りなさ、浅学を思い知らせてくれた。
逆に言えば、今回もまたジョエル・エドガートンの才能に、ひとつの灯りを見出した結果になった。「ラビング」では異人種間結婚の違法を教えてくれたことが思い出された。

シネマ自体は、したがって、神の教えに抗うことであるがために常に閉塞感に苛まれる。
しかしながら、現在もアメリカの大きな政治パワーを維持する宗教グループの実力を察するに余りあるシネマでもあった。
シネマにはこんな告発の力があって然るべし。
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