ザ・ウォール (2017) 

文字数 684文字

【ミニマルホラー なんですが・・・】 2017/9/5



クリントのシネマ「アメリカン・スナイパー」、
スティーブン・ハンターの小説「スワイガーサーガ」にみる
パトリオット・スーパー・・スナイパーへの皮肉なる回答なのか? 
アメリカシネマ言論の健全性を確認した。

登場人物はほぼ一人、狙撃手の観測員であるアイザック(名前からしてユダヤ人だろう)。
見えないイラク軍スナイパーに徹底的に翻弄される典型的なGI 。
物語はこのアイザックと声しか聞こえないイラク人スナイパーとの無線交信で進行していく。
アイザックは人ひとりしか隠れることができない小さな壁(ザ・ウォール)の陰に潜み
反撃を試みる。

このようなスナイパー対スナイパーの対決をテーマとした名作に
「スターリングラード」がある。
ジュウド・ロウ、エド・ハリスの華麗なる騙し合い狙撃が記憶に残っている。

しかし、本シネマはもう少し偏執的な戦いに終始する。
なにせ、イラク人スナイパーは自らを民間人だと名乗る、
テロリスト対正義のアメリカ軍の構造なのか?

祖国を蹂躙された市民の心を理解できないアメリカの傲慢と、
それを後押しする経済界の思惑がそこには描かれる。
ちょっと前まではこのような戦いはレジスタンスといわれて称賛された、
テロリストなどではなく。

今、中東の混沌はこのイラク戦争、いや戦争ですらない侵略から生じたものだと思えば、
本シネマの衝撃の結末は、アメリカの近い将来を暗示している。

ミニマルホラーの極め付け、
見えない敵との戦いをエンターテイメントにするのではなく、
素材を活用したパックスアメリカーナへの警告が心に響いた、
アマゾンシネマあっぱれ。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み