アジャストメント (2011) 

文字数 903文字

【ファーストレディーは美人ダンサー】 2011/5/28



PDCAサイクルと言う用語がある。
ビジネスを効率的に運用するための原則のようなものだ。
P(プラン)、D(ドゥ)、C(チェック)、A(アクション)
を繰り返して仕事を進めるべし・・・だそうだ。
仕事にかかわらずこの世知辛い世の中を渡っていくには、
実は僕らは知らず知らずにこの「サイクル」を実践している。
そのサイクルには必ず【個人の意思】がエネルギーとなっている
・・・そう、夢や希望をかなえると言う意思が。

このシネマの世界ではこのP(プラン)は
人間の叡智の及ばない力が作成し管理しているらしい。
スーパーインポーズでは「運命」と訳されているところから
「運命は自分では変えられない」と言うことになる。
ところがどっこい、「プラン」なら見直しサイクルで修正が効くのだ。
だが、現実には多くの人が自分の人生なのに「他人事」のように諦めてしまう
・・・「これは運命だから仕方ない」と言って。

本シネマは、その意味では非常にわかりやすい教訓で一貫している。
計り知れない宇宙神秘が人間を管理していようとも、
自らを向上させる生き物は救われる
・・そんなおとぎ話教訓だった。

本シネマでは大統領を目指す男、世界を目指す才能豊かな女性ダンサー、
そんなプランを持った男女が「プランに書かれていない愛」に命をかける。
絶対的パワーを有する管理グループがPDCAを駆使して
彼らの本来のプランを全うするべくA(アジャストメント)する。
なんと、PDCAのAは「アジャスト」であった!!
アジャストメントに「愛」は打ち勝つのか?

しかし実はそこには未知の権力も、
そこに付随するプランも最初から無いのではないかと僕は悟る。
そこにはアジャストメントもない、あるのはただただ人間の弱さ、弱さの言い訳だと思いつく。
僕(SF少年の成れの果て)は本原作を知らなかったが、
フィリップ・K・ディックのアイロニーもその辺りにあるのではと想像した。

さて、少なくとも既存のプランを書き換えさせた二人だが、
夢に向かってPDCAサイクルを洗練させることができるか?
めでたく、美人ダンサーのファーストレディーが誕生することを期待したい。

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