アパルーサの決闘 (2008)

文字数 796文字

【いよ~ 男だね】 2009/8/29




ロバート・パーカ節満載の講談西部劇、演題はもちろん「男の友情」。

所はアメリカ、時は南北戦争も終わり、新大陸よニューワールドよ・・・
と浮かれ騒いだかの国も新しい権力が着々と市民に浸透し統制し、
縛りつけ始める、その尖兵は「法律」。

本シネマ主人公二人は「自分たちが法である」ことを誇りにし生きてきた。
二人の生き様を支えるのは「腕力(ガンさばき)」であり、
それを強固にしているのが「死に対する無関心」だった。
見方を変えれば二人は「雇われの用心棒」、
当然のことながら国家権力と相受け入れる立場ではない。

二人の男が時代の変わり目をどのように生き抜いていくか?
エド・ハリスの解釈と再現化は見事だった。

男同士のニュアンスを語れば他の追随を許さないロバート・パーカーの原作、
まして暴力を闇の中ではぐくむ必要のないウェスタンの世界となれば
映像化もリアルで過激だ。
シネマは忠実に「二人の男たち」に迫っている。

どうしても、スペンサーとホーク(私立探偵スペンサーシリーズ)が
主人公二人と重なってくる。
特にヴィゴ・モーテッセン演じた相棒ヒッチは
エド・ハリス演じる高名な拳銃使いコールへの友情を全うする。
自分が新しい時代に呑み込まれることを拒否したヒッチこそは、
スペンサー、ホークの理想形なのだろう。

実はパーカーワールドでは逆説的意味合いで「女性」がユニークだ。
レニー・ゼルウィガーがこの逆説に十二分に応えてくれた。
こんなに嫌味な女性でなければ男性至上主義の西部開拓時代を
生き抜くことはできなかったのだろう。
その嫌味な女性に腑抜けにされてしまうのがガンマン コール。

コールはパーカーワールドでは「男未満」になってしまう。
そんなコールに義理を果たすべく命をかけるヒッチこそは
真の「男」だということなのだろう。
あまりにも淡白なラストだが、僕は思わず口走ってしまった
・・・「いよ~、男だね」

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