ジョーカー (2019) 

文字数 587文字

【ホアンキ・フェニックスがもたらした分岐点】 2019/10/6



「ビューティフル・デイ(2017年)」、「ゴールデンリバー(2018年)」では
マッチョな役者になった印象が強かったホアンキ。
今シネマでは一転して、痩せっぽちの社会不適合青年の心身を切なく演じ切っている。
マイナス要素の多い役柄は、俳優冥利に尽きるともいえるだろうが、
それにしても彼の今作での貢献度はすさまじい。

このシネマはホアンキのものだった。
DCフィルムだということは幼いブルース・ウェインの登場で呼び戻されるくらい、
あとはホアンキ演じるジョーカーの悲しみと怒りに僕はシンクロされるままになる。
ゴッサムシティの腐敗、富裕層の傲岸、その結果の弱者の切り捨て、
世界のいたるところの地域で、今実際に進行している悲劇をして、
ジョーカーは「喜劇」だという。

グローバルに拡大する解決不能と思われる
「富の格差、不平等」を扱うシネマも近年増えてきた。
今更ゴッサムシティに学ぶこともないはずなのに、
ジョーカー誕生物語は思いがけないインパクトをもって僕に迫る。
薬で精神を矯正することを拒否して我が道を進む、
自分が信じたことが正義、
もしかしなくても、この方法しかもう残されていないのかもしれない、
未来に希望を持つには。

まさか、DCフィルムでこのような哲学の分岐点を感じることになろうとは。
それも、ホアンキ・ジョーカーのおかげだった。
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