ネットワーク (1976)
文字数 582文字
【想像以上の虚構】1978/5/17
1976年アカデミー賞で主演女優・男優、助演女優、脚本4部門を獲得した評価の高い作品ならばこそ、厳しい態度で拝見した。
シドニー・ルメットらしい一ひねりした作法で、テレビ界内部とテレビが現実世界に及ぼす虚構を痛烈に告発する。見るからに低予算フィルムであるが故、その宿命とも思える現実感の乏しいストーリーと訴えるテーマの重さがかみ合わない。
それらマイナス面を補っていたのが俳優陣の意気込みだった。それは映画側のテレビへの告発でもあり、テレビをやすやすと受け入れる大衆への怒りにも思えた。
ロボットのようなテレビ業界人を演じたフェイ・ダナウェイが僕には最も現実感のある人物に映るのが愉快だった、さすが主演賞。
一方の、ウィリアム・ホールディング、ロバート・デュバルが熱演したビジネスマンはステレオタイプの域を出ることはなかった。
その間隙をぬってコングロマリットのボス(ネッド・ヴィーティ)の存在感が強烈だった。
狂人を演じての主演男優のピーター・フィンチはいわゆる美味しい役だったといえるだろう。
繰り返すが、シドニー・ルメットらしいインテリ風味がいくぶんくどい。
しかし テレビのみならずマスメディアすべてが怪しげに思える以上に、実態はもしかして想像以上の虚構なのかもしれない。
その意味から本作の意義は大きかった。
(記:1978年5月17日)
1976年アカデミー賞で主演女優・男優、助演女優、脚本4部門を獲得した評価の高い作品ならばこそ、厳しい態度で拝見した。
シドニー・ルメットらしい一ひねりした作法で、テレビ界内部とテレビが現実世界に及ぼす虚構を痛烈に告発する。見るからに低予算フィルムであるが故、その宿命とも思える現実感の乏しいストーリーと訴えるテーマの重さがかみ合わない。
それらマイナス面を補っていたのが俳優陣の意気込みだった。それは映画側のテレビへの告発でもあり、テレビをやすやすと受け入れる大衆への怒りにも思えた。
ロボットのようなテレビ業界人を演じたフェイ・ダナウェイが僕には最も現実感のある人物に映るのが愉快だった、さすが主演賞。
一方の、ウィリアム・ホールディング、ロバート・デュバルが熱演したビジネスマンはステレオタイプの域を出ることはなかった。
その間隙をぬってコングロマリットのボス(ネッド・ヴィーティ)の存在感が強烈だった。
狂人を演じての主演男優のピーター・フィンチはいわゆる美味しい役だったといえるだろう。
繰り返すが、シドニー・ルメットらしいインテリ風味がいくぶんくどい。
しかし テレビのみならずマスメディアすべてが怪しげに思える以上に、実態はもしかして想像以上の虚構なのかもしれない。
その意味から本作の意義は大きかった。
(記:1978年5月17日)