パブリック・エネミーズ (2009) 

文字数 738文字

【懐かしいギャングスターシネマでした】 2009/12/26



ハリウッド情趣にあふれたスタ-様式シネマ
・・・アナクロといわれてもこれは懐かしい。
面妖なのは古典的とも言えるギャングスターものを
《ラブストーリー》とミスリードした販促方法だ。

世に男と女が出逢えばラブストーリーが生まれるのは当たり前とはいえ、
この程度の追いつめられた愛の形はアウトロー男女には特別とは思えない。
このシネマ、コテコテのギャングスター作品だった。
男たちの姿が美しい、悪もFBIもなかなかのダンディばっかりだ。
ジョニー・デップとクリスチャン・ベイルを配したのだから当然といえば当然。
スーツ、ロングコート、中折れフェルト帽の男たちがうごめき、
トミーガンが火炎を発するとき、
最後のアウトロー伝説が甦ってくる。

デリンジャーが市民の敵と呼ばれたいきさつも今回始めて理解したが、
それは個人主義のアメリカが組織化されていく大きなうねりの中での小さな抵抗だった。
デリンジャーは、官憲のみならず裏社会からも、一般社会からも敵対視される。
追いつめられていく主人公の姿は見ていて胸詰まるものがあるが、
確かにハッピーにはなれない。
まして、ラブストーリーなど期待していたら肩透かしもいいところだ。
物語は、そんな男たちの生き様、死に様を淡々と映し出す。
歴史の中での自分の運命を悟ったデリンジャーの死はやはり哀しい。

老婆心:
FBI vs デリンジャーの図式がかなり単純化されている。
しかしこれもギャングカテゴリーの様式美として受け入れられないこともない。
クリスチャン・ベイルが凛々しかったぶん、
ジョニーからは演じているはずのデリンジャー個性が見えてこなかった。
ジョニーはもはや普通の人間(犯罪者といえども)など興味がないのかも知れない。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み