るろうに剣心 伝説の最期編 (2014)

文字数 917文字

【フィナーレ舞台を助演陣が埋め尽くす】 2014/9/15



ローランド・エメリッヒ作品(パトリオット(2000年))はメル・ギブソンがゲリラとしてアメリカの独立を牽引する、タイトルどおりの愛国シネマだった。
その中で彼は剣心の「人斬り」に似た暗い過去を持ちながら、たくさんの子供たちを男手ひとつで育てていた。
二度と人斬りはしないと決心したメル・ギブソンの次男をイギリス軍大佐(ジェイソン・アイザックス)が惨殺する。
メル・ギブソンはこの後再び鬼の「人斬り」に戻っていく。
しかしイギリス軍大佐によって長男(ヒース・レジャー)までもがその妻ともども殺されてしまう。
このシーンでは、ヒース・レジャーは腹から背中に突き抜けるサーベル刀でその命を落とす、悲劇の名シーンだった。
さて、
剣心も同じように腹から背中まで刺し抜かれるのだが、その後 志々雄との一騎打ちを制し、友に肩を借りて歩いて凱旋し、エンディングですっかり元気になっている。
逆刃刀で人を切らないという決意が天に通じて、その恩恵で切られても命を失わないということでもないだろうに。
リアリズムを云々しているわけではない。
「るろうに剣心」の物語ルールに疑問を感じ興ざめしただけである。

三部作完結編とあって、助演陣がフィナーレ舞台を埋め尽くしていた。
彼らを見るだけでも本シネマの価値はあるだろう。
師匠役の福山さんは一番の儲け役だった、この方お顔のアップ演技が上手い。
ただし危機を師匠に救われる蓋然性は、これまた云々しても仕方がない。
死んだと思っていた田中泯さん、さすがに瀕死だったのに、ご苦労にも完死される。
伊勢谷さんは今回も損な役回り、でも9回裏にピンチヒッターで出てきたのにはびっくりした。
川口さん、小澤さんは実在人物の枷など無関係にマイウェイを貫いていた。
神木さん一人演技至上と張り切っていた、貴重な存在だった。
藤原さんは前回同様仮面ライダー的奮闘だったが、これも演技の良い肥やしになるだろう。
肝心の佐藤さんは、これらの熱い、厚い助演陣にサポートされてアクションに励んでいたようだった。

コミック愛読者層をターゲットにし、ふんだんな豪華キャストで周辺も取り込んだ。
ワーナーブラザースのマーケットイン企画大成功、ご同慶の至り。
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