今度は愛妻家 (2009)

文字数 743文字

【120% 身につまされる】 2010/7/21



舞台劇のシネマ化だと知らなかったが、
どう観ても舞台のエッセンスがそのまま持ち込まれていて、
そうじゃないかとすぐにわかるくらいだったし、
行定監督もシネマらしさを意識したところなく淡々としていた、たぶん。

オリジナルは、良質の舞台だったことだろう。
シネマは、そのマスメディアとしての特権で僕の半端教養の淵を
すこし嵩上げてくれた。
大感謝。
このお話は120%身につまされる。
僕らは幸いにも夫婦とも存命で健康状態も特に悪いわけでないが、
還暦になってここのところ頓に体力知力の衰えや揺るぎを感じている。
いつ、夫婦が連れ合いを失ってもおかしくない年代であると覚悟するようになった。

夫婦は一緒にいるだけで安心するもの、
感謝しているけど、言葉に表さなくてもわかってくれるはずのもの、
でも、死ねばそれまで、何も伝わることは無い・・・いや伝えることはできない。
ゴーストになって化けて出るしか方法は無い。

世の中の夫婦のうち、どれだけの割合で化けて出たいほど愛し合っているか?
(憎みあっているケースもあるが今回は言及しない)
割合?、そんなことは知らない。
でも言っておくべき言葉はきっとある。

○○○○、ありがとう
××××ごめんね
本当は□□□□だったんだよ

こんな単純な会話が夫婦の間でどれだけ交わされているのか?
死んだ女房に「生きてるときに言ってほしかった」と微笑まれる妄想などしたくはない。
あるいはそんな悔いを残して悩みたくもない。

でも照れるんだよな、ほんとのことを告げるのは。
豊川さんですら薬師丸さんに素直にいえなかったことが僕にできるわけもないか?

夫婦の切ない別れ、若い恋の成就、ゲイに生きる父親。
盛りだくさんのようだがだがコンパクトにまとまった舞台シネマだった。

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