サード・パーソン (2013)

文字数 661文字

【「赦し」こそ愛と憎しみの昇華】 2014/6/24



プリミティブなシネマづくりに感心した。
月並みだけど「さすが、ポール・ハギスだね!」と感心した。

「ポール・ハギスの仕掛けた企み」が宣伝のテーマらしいが、それ自体は大したことはない。
彼自身も、このあたりは苦心していたのだろう、故意に不合理な展開をして破綻をみせてくれる。
ニューヨーク、ローマ、パリの魅惑の三大都市で繰り広げられる愛と憎しみが物語の骨子だ。
●親権を争う追いつめられた女(NY)
●見ず知らずの女に全財産を与えようとする男(ROME)
●スランプに落ちた作家と恋の駆け引きをする女(PARIS)
この三都市物語がどんな接点を持っているのか、その仕掛けは何か?・・・と警戒しながらの2時間17分はあっという間に過ぎていく。

スピーディなシーン切り替えで3組の愛憎物語は展開される。
仕掛けのヒントがボロボロと映像にそして会話にこぼれ出てくる。
おおよその展開は途中から露に見えてくるはずだ、たぶん。

いかにも精神不安定で、不運な、ドジなNYの女。
どこか自虐的で、おせっかいなROMEのアメリカビジネスマン。
暗い影と上昇志向のコントラストが魅力的なPARISの女。(先週鑑賞した「私の男」の花にも似ている)

当然のシネマ作法で、ラストに仕掛けは明らかになるが、ハッピーエンドになるかどうかは、「仕掛け」と同様に自分の感性で確かめるしかない。
それこそが、ポール・ハギスが僕(観客)に仕掛けた「テーマ」だった。

僕はと言えば、
愛も憎しみも「赦し」がないと心には浸み込まない事実を確認した。
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