プロヴァンスの贈りもの (2006)

文字数 793文字

【人生に迷っているなら観てください】 2008/1/14



運命に定められた幸せを信じたいと常々願っている。
その幸せがふるさとの田舎に見つけられたら、こんなに嬉しいことはない。
誰にでもあるとはいえないが、
きっと人生を真面目に生きる人にはめぐり合えるご褒美なのだろう。
僕自身小さい頃からずっと夢に描いた憧れにシネマのなかで逢えて、
心がこんなにも癒されている。

観客に問われる質問はシンプル・・・「お金か人生か?」
僕ら団塊世代が目隠しされたままこの50年を疾走してきた間に、
省みることのなかったテーゼだった。
僕らにとって、もうすでに遅いと諦めるか、
まだこれからの20年トライしようと決意するか?
僕ですら人生を省みる良い機会をもらったようで、シネマの力を改めて見直す、
いわんや若い方々は?

昨今、本シネマのようにワイン初めスローフードと人生を
カップリングするシネマ企画が多いのも、
いまさらながら「人生の大事」を見直しだしたからだろう。
本作のストーリーも、その意味では他愛無い。

世界最大の金融市場ロンドンで疲弊した主人公(ラッセル・クロウ)が、
亡き叔父(アルバート・フィニー)の愛に応えるべく、
プロヴァンスのワイナリーに幼年期の無邪気を探し出す。
この単純な展開がリドリー・スコットの手にかかるとまるで魔法のように変幻していく。
お約束の、女性との愛物語にも可愛らしい仕掛けがいっぱい、
この策略に喜んで身を委ねた僕だった。
この身を委ねた時間を至福の時といっても大仰とは思わない。

実は、僕の観所は
「フィニーと少年期の主人公(フレディ・ハイモア)とのシーン」にあった。
大御所に一歩も引かず演じたフレディ、彼の才能にいまさら驚くこともないが、
確実に本格的に進歩している。
そう、このまま進歩すれば一体どんな俳優になるのだろうか?
末恐ろしくも頼もしい。
本作には名優たちの美しい継承も感じられる、
至れり尽くせりである。



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