Fukushima 50 (2019)

文字数 665文字

【愚行を繰り返さないこと】 2020/3/6



あれから9年目が来ようとしている。
福島原発汚染事故のクライシスは繰り返し何度も検証され再現されてきた、
フィクションであれノンフィクションであれ。
そして今回KADOKAWAがシネマにした。
久しぶりに、「読んでから観るか、観てから読むか」というCMが流れるところをみると
力が入っているようだった。

シネマは全編ドキュメンタリータッチで真っ向勝負してくる。
豪胆なヒーロー吉田所長を渡辺謙さん、決死の伊崎当直主任を佐藤浩市さんが演じる。
テーマがあまりにも有名であるため、そしてその結末も広く知られているため、
二時間を堪能するにはこの俳優二人を注目するしかなかった。
吉田所長はTVにもしばしばその言動が紹介されていたこともあって、
「そうだったね」と納得する。
一方伊崎主任は最前線にいたこともあって僕には未知の存在だったが、
「そうだったろうね」とこれまた納得する。
未曾有の危機に追い込まれ、本来負うはずもなったとてつもなく重い責任を持たされた
二人の心情がくっきりと浮かび上がっていた。
これは名優お二人の競演の成果だった。

日本的と言えばあまりにも日本的発想の「決死隊」という言葉も出てくる。
家族や友のために命を投げ捨ててでも窮状を打開する。
よくよく考えてみれば、内閣、企業らの無力の結果、
犠牲を強要され難問を丸投げされた一般庶民の悲劇でもあった。

いままさに、
新感染ウィルスパンデミックの危機を目の前にして、
同じ愚行が繰り返されないことを強く望む。
そんな意味では、タイミングの良いシネマ公開だった。
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