インディ・ジョーンズと運命のダイヤル (2023)

文字数 817文字

【特養(特別老人養成)シネマ】 2023/6/30


月面着陸した宇宙飛行士の祝賀パレードを大混乱させる追跡劇が時代背景 ということは、1969年のインディ物語なのだろう。
ということは冒頭でのナチス崩壊のシークエンスから24年が経過している、つまりインディは60歳を越えた設定なんだけど、実年齢80歳のハリソン・フォードは、見た目もアクション演技もとてもきつそうに感じられた、なんでも可能な現代のシネマ映像の中でもだ。

というのも、前述の冒頭エピソードのハリソンは40台前後の若々しさ、こちらは間違いなくAI作成映像なのだろう。
若き日の俳優のデータから全くオリジナルの映像が創作できることは今に始まったことではない、裏を返せばスターは永遠にスターで あり続けることができるということだけど、その裏を返せば俳優の存在意義が危うくなることでもある。

40年以上にわたるインディ・ジョ-ンズ大河物語りのオリジナルスタッフ、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スティルバーグそしてハリソンが集う最終作にそんなデジタルパフォーマンスは似合わなかった、シネマは粛々と終焉の美を追求することに集中する。
NYシティでのパレードに始まり、シラクサ、洞窟での冗長ともいえる追跡劇はインディ・ジョーンズのアイデンティティの確認だとすれば、そこはそれで我慢のしどころだった。

本作も、魔訶不思議(怪しさ芬々)の遺品を巡る戦いがメインテーマであり、執拗にナチスの悪を揶揄するところに変わりはない。 たとえそれが一気にSFの世界に飛躍する素材であろうとも。
タイムスリップと老いたインディ・ジョーンズのアンバランスなカップリングに中盤の退屈が吹っ飛ぶ。

そして穏やかなるエンディング、これこそは特別老人養成シネマに違いなかった。
インディ・ジョーンズと共に生き古希を超えた一人のファンとして胸が詰まる想いのエンディングだった。
長生きしてね、インディ・ジョーンズ。
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