イソップの思うツボ (2019)

文字数 891文字

【どの船頭さんの舵取りだったのかな?】 2019/8/17



脚本ファーストの典型的成功例だった「カメラを止めるな」、
その脚本はもちろん、監督はじめスタッフ、キャスティング一同が無名(少なくとも僕には)だったにもかかわらず、あの痛快結末に酔ったものだ・・・ヤラレタというところが本音だったが。

その脚本・監督担当の上田監督のリターンマッチシネマが本作、
真の力量を問われることになるが、シネマファンとしては大きな楽しみだった。
事前から監督3人スタイルということは積極的に開示されていた。
へぇ~、オムニバスなのか?と思ったのが素直な反応だった。
いや、実際はそうではなかった。

本作はかなり前作に近い位置にある作品のように見えるが、
実は前作とは遠いところにあった。
脚本ファーストと前述したが、その脚本のトリックで見せるシネマが本作、外連のない正攻法である、一方僕が肩透かしを食らった「カメ止め」はシネマ構成のトリックだった。

やはり今作は上田監督にとってのリターンマッチだった、
脚本の凄さを見せてくれようぞ・・・という自信に満ちたリターンマッチだったのだろう。

そこに、なぜ3人の監督が必要だったのかな?
3人の分担境界線があったわけではないので、どんな形式の共同監督なのかはわからない。
途中でオープニングロール(のようなものが)何度か出てきていたのであれが分担移行のシグナルだったのかな?
背景説明→アクション→種明かし、の流れがあったので、これが3人のパートだったのかな?
そんなことは、実はどうでもよかった。

リターンマッチだとすれば、そこで見事にノックダウンされていた。
脚本は誘拐事件を核にうまい具合に整合性が取れている一方、
映像、編集、ディーテイル処理が乱暴だった。
シネマが愛されるのは、それが総合芸術だからだと僕は信じている。
脚本だけではその果実を愛でることはむつかしい。
唐突な「実は私は…でした」とか、
肝心のプロセス省略は顧客である僕を置いてきぼりにしてしまった。

できることなら、もう少し種明かしシークエンスをリアルに、
俳優さんも大切な要素です、魅力的なシネマには。

再リターンマッチが楽しみだ。
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