トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 (2015)

文字数 810文字

【筋金入りの反戦作家】 2016/7/22



ダルトン・トランボのヒーローシネマだが、
予想を裏切るサービス満点のエンターテイメント仕様だった。
ハリウッド・テンとして非米活動家ブラックリスアップされ悲惨な13年間を送ったトランボが名誉回復後に述べた言葉・・・・・
『 あの時代には悪者もヒーローも存在しなかった、皆が犠牲者だった、
  虐げられ、脅され、  仲間や家族をそして命さえ奪われた 』と 、
かの狂乱の時代を振り返る。
しかし、紛れもなくトランポはヒーローだった。

いわゆる冷戦下でのマッカーシー赤狩りに代表される共産主義排斥ハリウッドヒストリーを
克明に描く、それも面白おかしく。
トランボ 40代の苦難でありながら家族の結束をベースにした一番輝いた時代の物語だった。
レッドパージで服役した後、偽名で(当然安価で)B級映画の脚本を手掛け、家族の生活を何とか維持する主人公。
どうしても書きたい脚本は他人名義・偽名で発表し2度のアカデミー賞(原案賞)を受賞
ガッツとともに才能にあふれていた。

僕が観ている彼が携わった脚本作品は:
「ローマの休日」、「スパルタカス」、「栄光への脱出」、「ハワイ」、「いそしぎ」、
「ダラスの熱い日」、「パピヨン」など。
「ジョニーは戦場に行った」は原作、脚本、監督を兼ねている。

本シネマのお楽しみは、懐かしい名前(俳優、監督)が登場するところだ。
ジョン・ウェイン(俳優組合会長)、エドワード・G・ロビンソン(親友)、
カーク・ダグラス(スパルタカス主演)、オットー・プレミンジャー(栄光への脱出監督)
などが再現される。

たわいないとはいえ、、僕の少年期の懐かしいシネマが蘇えってきた。
非米活動委員会が結局実体のないものであったこと、
言論・表現の自由はアメリカの国是で保障されている権利であることが
テーマとして謳われていた。

シネマはその表現のひとつであることと、
トランボの不屈の精神が羨ましく思えて仕方がなかった。

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