渇水 (2022)

文字数 508文字

【芥川賞風味】 2023/6/5


原作は不勉強・・というか芥川賞候補までフォローしていないので未読。
タイトル「渇水」がメタファーするであろう人の心の貧困を幼い姉妹への養育放棄虐待の形で全編貫いている。

主人公の水道局職員は料金未納家庭の水道を止める仕事の毎日、彼らが訪れる市民の対応のバラエティとそれを受け止める主人公の心の揺れもシネマ観どころになっている。
水は最後のライフラインと理解していたが、あっさりと止めることに驚く。
「規則だから」という拠り所しかない職員にも裡に暗闇が鬱積する。

物語は、気象面からの渇水(水不足)、高温の前橋市、主人公のトラウマ、相棒の結婚問題を抱え込みながら流れ出していく。
その先に期待した大きなカタルシスは残念ながら用意されていない。

主人公が家庭を再生できるのか?
姉妹は両親をどう断罪するのか?
テーマがそっくり残ったままぼくは取り残される。
シネマ完成度に問題を感じた芥川賞風味昭和テイスト物語だった。

老婆心:
生田斗真さんがどうしても水道局の職員に見えなかった。
子役さんを先週拝見した「怪物」の子たちと、ついついと比べてしまった。
映像画質の粗さが気になってしまった。
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