ジャグラー/ニューヨーク25時 (1980)

文字数 687文字

【ニューヨークにはやはりハードボイルド】 1980/6/14



ニューヨークという都市は魅力ある女性のように、いろんな顔を持っている。
エド・マクベインがアイソラを描くようにはうまく言い表せないが、けっして治安の良くない怖い街というだけではない。
そのニューヨークでのロケが本シネマの大きなセールスポイントになっている、何せ全編全てニューヨークロケだ。そして、ニューヨークにはやはりハードボイルドが良く似合う。

ジェームス・ブローリング扮する元刑事が娘を探して、しゃにむに駆け回る姿はダーティハリーを思い出させる。ガンを手にしていなくても犯人を追い詰めていく主人公に、父親の想いがハードに伝わってくる。
犯人役クリフ・ゴーマンの狂気も父親のハードに対抗して怪しく光っている。
クリント・イーストウッドが追ったアンディ・ロビンソンといい勝負だった。

二人の対決を盛り上げてくれるのが、ニューヨークの現実である。
悪徳不動産、
汚職警官、
離婚した妻、
ジョッガーの群れ、
ポルノショップ、
ストリートギャング、
落書きだらけの地下鉄、
自然食品ショップ、
ロックコンサート、
・・・などなど全てナマのまま登場してくる。
ニューヨーク好きの僕にとっても、きら星のごとくの映像の数々、これほどまでにこの街の実景を取り入れたシネマはなかった。
プロットがマクベインの「キングの身代金」に似ているように、マクベインの小気味よさが感じられる。警部補(リチャード・カステラーノ)にまだ汚されていないニューヨークの古き姿を感じた、案外この街の現実なのか?

そう考えたら、このシネマ、「I LOVE NEW YORK」そのものだった。

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