セーラー服と機関銃 -卒業- (2015)

文字数 830文字

【ヤクザ抗争シネマ(貴重品)】 2016/3/9



時まさに、日本一の指定暴力団が抗争に入ったというお墨付きが出た、
こんな時の本シネマ公開は劇的だろう。

目高組四代目組長 星泉と敵対する浜口組、
そのローカルヤクザを呑み込んで
一気に利権を拡大しようとする広域暴力団の争いを描いている。
近年では、ヤクザ映画はもはやタブーとなって、
製作されることは勿論のこと、過去の作品を観ることもままならなくなっている。
本シネマは、その意味では羊の皮を被った狼シネマだ。

セーラー服(JK)という記号で、かなり酷い数々のシーンをカモフラージュしている。
女組長なんてファンタジーだから問題なしと世間は思うのだろうか?
今シネマのもとになるのは、もはやレジェンドになっている
薬師丸ひろ子さん絶頂期のアイドル系シネマ「セーラー服と機関銃」だ。
相米監督の独特の軽妙なタッチも相まって、青春ヤクザ物語になっていた。
極論を言えば、前作は薬師丸シネマだった。

今回はその続きのお話ということで、すでに立派な組長経験者として、
いまは足を洗った堅気の星泉が設定されている。
そして悪玉は、地方都市再開発と称して利権を根こそぎ収奪していく、
広域暴力団フロント企業のデヴェロッパー。
現代の日本の停滞、未来への不安を映し出している。

その中で、コケにされ、虫けらのように殺されていく地方の小さなヤクザ。
とうとう最後に巨悪に立ち向かう目高組四代目 島泉。
もうこれは、僕が昔から愛していた高倉健さんの懐かしい任侠世界になっていた。

思いがけず、今このシネマが公開され、楽しませていただいた。
現在の暴力団抗争に正義を付与するものにはならない・・・と信じていたい。

老婆心:
主演の橋本環奈さん、それなりの新しい星泉だった。
おかげで35年前の薬師丸ひろ子さんの恐るべき魅力を思い出した、
彼女には神がかり的な少女マインドがあったことを。
助演陣頑張ってた、
長谷川さん渋い、
安藤さん怪しい、
宇野さん上手い、
伊武さん怖い、
武田さん相変わらず。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み