ナイトクローラー (2014)

文字数 687文字

【これも「Land of Opportunity 」ですか?】 2015/8/25



「ボーン・レガシー」で綿密で論理的脚本に感心したことがある
ダン・ギルロイの初監督作品、もちろん脚本も。
その「ボン・レガシー」の撮影監督ロバート・エルンスウィットの
映像の美しさが、醜い現実に哀しく映えていた。

そのうえの大きなおまけが主演のジェイク・ギレンホール、
近年流行り(?)の減量役作りで
彼トレードマークのあの甘さがどっかに吹っ飛んでいた。

物語はちょっと特異な、いやちょっと危ない上昇志向の失業青年が、
「血」に塗られたニュース画像をLAの夜から切り取る起業始末記だ。
と言っても、最初はノウハウもなく、機材も貧弱だが、
その取柄は彼の「完璧に欠如したモラル」だ。

どんな悲惨な事件にも目を背けることなくビデオを向けていく主人公が
報道の「自由」とセットになった「モラル」を取り壊していく様は戦慄の極みだ。
ナイト・クローラとは、「夜に這いずり回る者」。
誰にも認められず、仕事もない主人公には、這いずって血の匂いを追いかけるしかなかった。
血塗られた商品が価値を持つのはその先に需要があるから。
残酷なニュース画像は、テレビ局の視聴率競争の中で価値を膨らませる。
その視聴率とは、とりもなおさず普通の人々の関心の度合い。
ぎりぎり法律に触れず、モラルについては解釈の違いという言い訳で流されるニュースを
朝食のつまみにするのは僕自身なのか・・・。
論理的に僕は追いつめられてしまう。

優れた脚本。
汚れを全て隠してします美しい街の夜景、
ナイトクロールの終わる朝の輝き出す風景も美しい。
優れた撮影。

シネマはこうありたい。

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