アンドロメダ・ストレイン (2008)

文字数 626文字

【アンドロメダ病原体の警告】 2009/3/21



マイケル・クライトンデビュー作である原作に熱い敬意を評して拝見した。
SFが真に科学のエンターテイメントなんだと感激した、
あの頃の若き日々もついでに思い出しながら。

当然ながら40年もの歳月のギャップはすなわち科学技術の発展そのものでもある。
映像リメイクにおいてコンテンツはすべて進化していた。
だが、さほどに古典SFは過去のものかというと、とんでもない間違いを起こす。
この間のテクニカルな発展は目を見張るばかりだが、
テーマである「未知の病原体」への恐怖は依然解消されていない。

ときまさに「新型インフルエンザ」ハザードに慄く地球人類。
自然の気まぐれに怯える地球人、
自らのマッドサイエンスに自滅の道をたどる地球人、
宇宙に関してあまりにも無知な地球人、
マイケル・クライトンの警告は充分効力を保ったままだ。

本作はきわめてスタンダードなパニックサスペンス。
プロジェクトチームメンバーの個人トラブル数々もそうだし、
裏権力を操る情報機関の悪玉たちもろもろも類型だし、
間抜けな大統領もありきたりな設定だし、
スクープ狙いのTV記者にいたってもお決まりの薬トラブルだし、
ちょっぴりハードな銃撃シーンサービスも眠気覚ましだし、
謎解きも数%未解決残し続編への布石があったりだし、
すべてが標準化されてしまっていた。

しかし、それでも
マイケル・クライトンの賢明なるメッセージは曲がることなく伝わってきた。
宇宙の知性には限りなどないことが。
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