トランスアメリカ (2005)

文字数 768文字

【♂♀】 2007/2/5



主人公にテンガロンハットの被り方TPOを教えてくれる
老インディアンカウボーイひとりだけがやけに普通に思える。
彼に前科があって、片目が見えず、脚に銃弾が入った男(♂)であってもだ。

まぁ、これは軽いジュークとしても、登場人物の設定が強烈に異色である。
まず、主人公は性不一致症で転換手術を控える女性の格好をしたおじさん(♂→♀)。
主人公が離婚した妻との間の男の子は継父に性的虐待を受け
ホモセクシュアル(♂・♂)として成長した。
二人が旅の途中で出会うほかの人物も、父息子に負けず劣らずで、異色臭を放っている。
隠していた親子関係だが、息子に性関係を迫られるにおよび、
父(♂→♀)が息子(♂・♂)に「こんなもの(♂→♀)がお前の父だ」と名乗ってしまう。
  ■その時の息子の怒りは何だったのか? 
  ■息子に受け入れられなかった父の嗚咽は何に対してだった?
想像する楽しみ材料たっぷりのシネマだけど、
僕(♂)には、これは解けない難問ばかりだった。

それより、手術後、主人公(♀)がホモで身を立てている息子(♂・♂)と再会したシーン、
二人がやっと普通の親子になったように思え、ちょぴり嬉しく感じたものだ。
そこには、老カウボーイから贈られたテンガロンハット(♂)が再び息子の頭に・・
この二人、異色ながら何とかバランスが取れそうな未来が見えてくるエンディングだった。

いやはや(♂、♀)記号にしてしまうとと、
こんな具合に無味乾燥の世界になってしまいそうだ。

でも、もしかして、僕らは飽きずに毎日こんなことして暮らしてはいないだろうか?
記号にできないのが人の精神と感情、
その中でも人を愛することはどう考えても記号には置き換えられない。
といって、主役俳優の記号(♂?♀)にこだわってもいけない・・・というわけでもない。

彼女は怪演、快演だった。
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