アス (2019)

文字数 616文字

【一筋縄ではないジョーダン社会派スリラー】 2019/9/9



「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール監督最新作、というだけで観てみたくなるのは、
スリラーの概念を覆してくれた上に人種差別を切って捨てて見せてくれた前作だったからだ。
…と期待していたら、イントロから何やら歯切れが悪い。

今作も主人公は黒人、アカデミー女優のルピタ・ニョンゴ演じるマムが仕切る4人ファミリーが経験する恐怖と殺戮のバカンス、
この設定では類型的スリラーと思われがちだし、友人の白人一家との交流の一コマも明らかに布石といえるシークエンス、
いかにも歯切れが悪い。

と、イライラしていると
主人公の少女時代のPTSDをさりげなく説明しながら、物語は一気に殺戮と追撃に移ってしまう。
なんとなんと、一家と同じ顔を持つ4人家族が登場する、しかしどこか彼らには欠けているところが感じられる。
ここから先は本編でしっかと残忍シーンをお楽しみいただきたいものだ。

つまりは、後半のアクション部分との対比として、前述したネタ布石の前半であるのだが、
その後半も決して歯切れはいい方ではない。

監督がメタファーしたかったのは、人格の裏にある影の暗さなのか?
そんな精神的象徴などではなく、経済格差の鬱積による暴力革命なのか?

そして最後に僕は監督に見事に引っ掛けられ、ニンマリと笑われてしまう。
あぁ、そんな手が残っていたのか・・・と。
今回も予想不可能な社会派スリラーだった、
いかにも歯切れは悪かったが。
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