サバービコン 仮面を被った街 (2017) 

文字数 635文字

【アメリカ・ファーストの欺瞞】  2018/5/7



いつものように予断のないシネマ鑑賞だった。
唯一のモチベーションはマット・デイモンとジュリアン・ムーアの共演を見たかったから。
それにしても僕の情報収集に抜かりが多すぎたようで反省中だ。

ジョージー・クルーニー監督、
コーエン兄弟脚本なんて全く知らなかった、エンディングロールまで。
そのおかげで、肩に力の入らない鑑賞ができたともいえるかもしれないが・・・。

シネマ宣伝コピー「この二人、何かがおかしい」以上に、
このシネマそのものが何かおかしい。
素晴らしきアメリカンファミリータッチのホームドラマに込められた憎悪が
プンプン匂ってきた。

おそらく1950年代のお話だろう、
黒人人権が大きな世論のうねりを呼ぶ前の人種融和政策への反発、
個人の欲望が何物にも優先する競争世界・消費世界への警戒、
もし偉大なるアメリカの時代があったと妄想するならば、この時代だったのかもしれない。
それは、白人アメリカ・ファーストの傲岸。

シネマは、そんな間違った世界観をメタファーするかのように
コミカルな展開の中多数の人が殺されていく。
人種差別、白人優位、そしてアメリカファーストの醜態を本シネマはさらけ出す。

サバービコンの白人住宅街に住むたった一組の黒人家族が美しく輝いていた。

ジョージー・クルーニー監督・脚本シネマはこれがお初、
リベラルのクルーニーは健在だった。
マット・デイモンの傲慢、
ジュリアン・ムーアの白痴、
オスカー・アイザックの狡猾、
それぞれにお見事。
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