るろうに剣心 (2012)

文字数 567文字

【忍忍でござる】 2012/8/26



コミック原作は避けるべしのハードル(自分の勝手なハードルだけど)を
敢えて越えさせたのは、
【龍馬伝】監督とそのドラマで岡田以蔵を演じた佐藤健の組み合わせだった。
さらに、主人公剣心は以蔵と重複する暗殺者の悲劇を背負う人物像かな?とも想像した。
そう、本シネマにはまったく事前知識が無かった。

先ず感じたのは「チャンバラのニューウェイブ」。
武士の世の中が終焉した明治に生きる「武士残影のチャンバラ」と考えると、
本作はチャンバラのエポックメイキングかもしれない。
本来「人斬りの剣術」は、ここでは「人を斬らない剣」に変身している。
劇中でも繰り返し表明されている「暴力の時代から新しい平和な時代」への変革の中で苦悩する
元人斬り主人公、なかなか興味深い設定だ。
そこまでは論理的には理解できた。

しかし残念ながら感性がどうしてもついていけなかった。
10年前からジェネレーション間の感性の差異に気づき始め、
現在に至っては差異にすら気づかないようになった。
本シネマの細部ひとつひとつがシックリ受け入れられない自分に気づいた、
単に受容不可になっていた。

俳優のオーバーアクションを忍び、
逆に俳優の台詞回し未熟を忍び、
殺陣の不可解さを忍び、
美術の安易さを忍び、
音楽の陳腐化を忍び、
脚本の幼稚化を忍び、

年寄りは忍忍するのみにござる。

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