あの頃ペニー・レインと (2000) 

文字数 661文字

【懐かしさと後悔と憧れ】 2007/9/17



懐かしさと、少しの後悔と、ほんの少しの憧れを禁じることができなかった。
僕の70年代は、エンターテイメント分野では暗黒の時代だった。
卒業、就職、結婚、育児が目白押しだった、この時代こそ人生のインフラ形成時期だった。
80年代バブル経済に向けてしゃにむに働く団塊サラリーマン、
息苦しい世の中に埋没していた。
僕はこの期間特に音楽シーンを切り捨て封印した。

本シネマにも散見するロックナンバーの数々僕はリアルタイムで聴いてはいない。
前述のように、優先順位を意図的に下げたわけだから、
何も悔いは無い・・・・はずだ。
主人公ウィリアムのような立場を夢見るわけでもなく、
ましてやペニー・レインのような女性との邂逅を羨むことも無い。 

勘違いと言われようと、70年代のロックは僕には日常のカタストロフィーを象徴していた。
決して近寄らずその甘い香りだけを遠くから嗅いでいたような気がする。
今になり、団塊世代の趣味回帰が喧伝されるようになった。
といって、楽器をいじりなおしたり、ライブステージを訪問しても、
所詮後追いの興奮残滓を確認するだけだった。

本シネマ、おそらくは綺麗ごとの羅列かもしれない、
かなりそうなんだろうと確信している。
それでも、僕はこのシネマに懐かしさと後悔と憧れを禁じられず、
ふと遠い昔を思い感じた。
せめて、あの時代、僕はロックをもっといっぱい聴く事はできたはずなのに。
すくなくとも、ロックを愛したバンドの生き様を見届けることができたはずなのに。

甘い青春シネマ、
でも、僕にはとても辛かった。

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