MEN 同じ顔の男たち  (2022)

文字数 784文字

【突き放される快感】 2022/12・09


アレックス・ガーランド監督・脚本による劇場公開2作目に大いに期待して 拝見した。
前作「エックスマキナ(2015)」が我が想像を超える展開だったこと、その中に示されたイデアの先見性に痛く感激した記憶があった。

荒筋は原題「MEN 」が示すように男たちがぞろぞろと入れ替わり登場して 主人公の未亡人を苛める、それが同じ男(MEN)というところがキーになっている。
実は見終わってからも「荒筋」らしきものが掴み取れないままでいるので、本当のところ荒筋は不明と言った方が適切かもしれない。
では、映像展開として理解するところでは、目の前で夫が自殺したらしい主人公が傷心治癒のため田舎のお屋敷に滞在する中で、 遭遇する奇妙で残酷なエピソードの数々だった。
一方で人気のない森林の美しさと静寂、その反動のようなグロテスクな醜さ(R 15 指定)が混在する。
シネマ三分の一が経過した時点で、僕はこれは主人公の幻覚描写に違いないと思ったのだが、アレックス・ガーランドがそんな容易い 結論を用意しているとも思えない矛盾に悩む中、シネマはどんどん非現実な展開になってくる。

ホラー・ミステリーに対してネタバレはご法度だけど、ネタがないというレポートもやはりネタバレなのかな?
いや、僕が本シネマを理解していないのかもしれない。
唐突にエンディングになるシーン・・・「さぁ ここからは観客のあなたが物語を紡いでください、お好きなように」・・・なのか?
ではお好きなようにやってみよう:
主人公は夫を殺害した。
夫は悪魔の一族、主人公の親友にはその悪魔の子が宿っていた。
悪魔の報復に一人立ち向かう健気な女性、この後も続くであろう悪魔の襲撃を想像するのも怖い。
という与太話もあるかもしれないが、本作は最後にドンと突き放されるところが快感なのだ。
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